中秋の名月

本日、9月22日は十五夜でした。
あいにく夜は曇ってしまって見えませんでしたが、
夕方、太陽が西に傾き、空が青とオレンジに染まる頃、
くっきりとした中秋の名月が見られました。
みなさん、ご覧になったでしょうか?


月を題材にした作品はいままで多く書かれてきました。
例えば、百人一首大江千里という人物は
次のような歌を残しています。
月見れば ちぢにものこそ 悲しけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど

この和歌の意味は
「月を見ると、ただもの悲しくてしかたがない。
秋は私のところにだけやってきたわけではないのに。」
秋になって綺麗な満月を見ると、切ない気持ちになるのは
昔の人も現在の人もかわらないのですね。


またイギリスの劇作家、ウィリアム・シェイクスピア
ロミオとジュリエット』の中で、
月を次のように登場させています。
ロミオ:ジュリエット様、僕は誓言します、見渡す限り、
樹々の梢を白銀色に染めているあの美しい月の光にかけて。
ジュリエット:ああ、いけませんわ、月にかけて誓ったりなんぞ。
一月ごとに、円い形を変えてゆく、あの不実な月、
あんな風に、あなたの愛まで変っては大事だわ。

中野好夫
月光に愛を誓うという一見ロマンチックな行動も
ジュリエットにとっては不実な誓いでしかなかったのですね。


また19世紀イギリスでは、満月には人を狂わせる力があるとされました。
そのため精神異常(lunacy)という単語には月(luna)が入っています。
満たされた月に心奪われてしまう気持ちはわかるような気がしますね。


美しい月を眺めていたら優しい気持ちになれる気がします。
形は変わっても、変らずそこに居続けてくれる月に元気をもらって
毎日を過ごせたらいいですね。
近づきつつある秋を楽しんでいきたいです。