Against Idleness and Mischief

『Against Idleness and Mischief』
これは17世紀後半から18世紀にかけて
活躍した神学者、Isaac Wattsによって書かれた
子供のための聖歌集の中のひとつの詩です。


How doth the little busy Bee       小さくて忙しく働いているミツバチ達は
Improve each shining Hour,      どうやってこの輝かしい時間を過ごすのだろう
And gather Honey all the day          1日中密を集めてまわる
From every opening Flower!         咲き誇っているすべての花から!
 

How skilfully she builds her Cell!    なんと見事に巣穴を作ることだろう!
How neat she spreads the Wax!       なんと綺麗に蜜を広げることだろう!
And labours hard to store it well    そしてなんと懸命に密を集めることだろう
With the sweet Food she makes.        自分が作った甘きえさとともに


これがIsaac Wattsが書いた内容です。
ミツバチという身近な存在を使うことで
子供たちに勤勉の大切さを説いているんですね。


ところが!
この詩のパロディがある有名な作品の中に
登場しているんですね。
そう!『Alice in Wonderland』です!


Aliceがケーキを食べて大きくなってしまった後、
「私はだれ?」と自問自答し始めます。
もしかして友達のMabel?
けど彼女は私ほど賢くないわ!
そうだ!彼女かどうか確かめるために
Wattsの詩を暗唱してみよう!
ということで出てくるのが以下の詩なのです。
(Disneyのアニメではいもむしさんがこの詩を言うみたいです)


How doth the little crocodile            小さなワニさんが
Improve his shining tail,            輝くしっぽをみがいています
And pour the waters of the Nile          そしてナイル川の水を
On every golden scale!              金色のうろこにふりかける!


How cheerfully he seems to grin,      なんて嬉しそうににやりと笑うのだろう
How neatly spread his claws       なんてきれいにつめを広げているのだろう
And welcome little fishes in          そして小魚を迎え入れようと
With gently smiling jaws!            やさしく口を開いています!


実際のWattsの詩を暗唱することができなかったので
私はMabelになってしまったんだわ。と
Aliceは嘆いてしまいました。


ところでこの詩、
Lewis Carroll、教養で遊んでいますね。
Wattsがミツバチの勤勉さを説いているのに対し
Carrollはワニが楽して餌を得る様子を描いています。
真逆のことを作品の中に取り込んでいるのは
皮肉的ですね。
Wattsのこの詩を理解していないと
Carrollの皮肉さは理解できないんですね。


文学の世界は深いですね〜。
まだまだ勉強が足りないようです!